藤井 久

株式会社博報堂 第1クリエイティブ局長/エグゼクティブクリエイティブディレクター

広告会社(株)博報堂で20数年間、ずっとクリエイティブ畑を歩いてきました。専門は主に、TVCM制作です。会社ではクリエイティブのマネジメントをやっている一方で、現役のクリエイティブディレクターでもあるので、今も皆さんが観ているTVCMを作っています。自分たちが生きてきた20世紀終盤から、21世紀の今にいたる期間は、平和でバブルで、あんまり何も考えなかった時代だったと認識しています。しかし何も考えないうちに、日本も世界も、いや何もかもが、立ち行かなくなってしまった。なかなか答えの見つからない、難しい状況になってしまった。でも諦めていたら何も変わらないわけで、自分自身いろいろなことを考えて、小さな一歩でもいいから、自分ができることを何かやっていこう。最近はそんなことを考えています。

「利他」という概念が、バランス良く行きわたった社会を創りたいと思います。人間は「利己的」な部分と、「利他的」な部分でできているはずです。しかし20世紀の資本主義は、人間の利己的な部分を果てしなく拡張にした一方で、利他的な部分を喪失させてしまったように思えます。資本主義が成功した日本の社会は、そのバランスが大きく崩れ、社会のあちこちに、そのひずみが生まれています。「自分さえよければいい」という気持ちの蔓延。このままでは、日本の社会が立ち行かないように思うのです。自分がよりよく生きるためのエンジンになる「利己心」と、社会が円滑に成り立つように調整する「利他心」が、高いバランスで成り立つ社会。宗教や政治が上手に機能しない国ではありますが、資本主義が成功した日本と言う国だからこそ、この壮大な挑戦ができるのではないか、そう考えています。

どんなふうに、といっても、自分が出来ることには限界があります。だから変に気張ることなく、出来る範囲で、長く続くように支援していきたいと思っています。その人が本当にやりたいことを見極め、一方で自分のできることを見極め、そこに幸せな出会いや、プラスの化学反応があることを願いながら、楽しく支援していきたいと思います。

新しい出会いや気づきがあるだろう、と思うからです。これまでの社会生活を続けていたのでは、決してめぐり合うことがない方々と、一緒に新しい経験をできるはず、と期待するからです。自分の人生に何か良ききっかけをくれるような、そんな予感がするからです。

菊池信孝
特定非営利活動法人インターナショクナル 代表理事

 

1985年、早稲田大学商学部卒。株式会社博報堂入社。第1制作室に配属され、CMプラナーとして会社生活をスタートする。食品、飲料、自動車、電気、流通、金融など、数々のクライアントを担当。ACC賞、フジサンケイ広告賞、カンヌ広告賞など、国内外の多くの広告賞を受賞する。1999年クリエイティブディレクター。2000年、博報堂インプログレスに出向し、取締役。2008年、エグゼクティブクリエイティブディレクター、2010年4月より、第1クリエイティブ局長。